一般社団法人 栃木県病院薬剤師会
会長 中丸 朗
(那須赤十字病院)

 栃木県病院薬剤師会は令和 3 年に創立 70 周年を迎えることが出来ました。
これまで栃木県病院薬剤師会を支援、御協力を頂きました会員ならびに関係各位に御礼を申し上げます。昭和 26 年に発足してから年を重ねる毎に、会員は増えていき 700 名を越える会員が当会を支えております。振り返りの 10 年として印象深いのは法人化であります。会の運営が定款に基づく運営であることが透明感、安心感、責任感を醸し出しており各方面からも一目おかれる存在になったと確信しています。

 また学術活動では輪番制で開催されている日本病院薬剤師会関東ブロック第 48 回学術大会が宇都宮で成功裏に開催できた事は会員の結束力の表れで、前回、前々回の経験がしっかりと引き継げた結果であります。諸先輩方に感謝して、次世代に引き継いで参ります。10 年は矢のように過ぎ去りましたが、今年は 70 周年の節目で有り、東京オリンピックの年であります。然しそれにも増して新興ウイルス感染症の急速な拡大、蔓延は終息が見えず平穏な日々がありません。パンデミックにおけるワクチン接種において薬剤師が担うべき責務は何かを考えさせられた機会でもあります。公に薬剤師の役割は注射液の希釈、分注、配送が業務となり、接種は見送られています。数十年前までは臨床検査技師の資格取得も可能であったのに、6 年制になり資格取得に必要な履修科目は整理され、その結果、ワクチン接種における人手不足は他の医療職の後塵を拝することになっています。6 年制になり将来を見据えて、コアカリキュラムに注射手技の説明はありますが日常業務への展開はありません。今後の実績の積み重ね、法改正に期待します。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐため、我々の生活は大きく変化いたしました。日病薬、栃病薬の会議、研修会の在り方も密を回避するために WEB が主流になっ
ています。WEB 会議・研修会は距離に関係無く経費削減の意味では良いのですが深い議論をするには対面の方に分があります。栃病薬では学術講演会、研修会を WEB 開催で先
行させていて、開催方式は完全 WEB か収容人数を制限するハイブリット方式で開催しています。開催に伴う出欠の確認や参加シールの配付などの取り扱いは改善されつつあり、WEB での開催は今後も続くと考えられます。幸いにもインフラ整備は円滑に進み遠隔地からの参加も増えています。これを機に栃病薬の各種委員会の活動や会議も WEB が主流となり、事務局業務の負担軽減も図れました。 定款、定款細則の変更で理事会を情勢に応じて WEB での開催を可能とし、各種支払いはインターネットバンキング、配布物は黒猫メール便、配送資料の PDF 化、ホームページの掲示板の活用など省力化と電子化を推進させました。一刻も早い終息を願いますが、先ずは情勢に柔軟に対応し栃病薬の活動を維持し、そして次ぎに備えるしかありません。

 会員の皆様の生涯研修において、コロナ禍でありながら日々の研鑽に勤しみ、スキルアップを目指す薬剤師の多くいます。日病薬病院薬学認定薬剤師制度の研修に関しまして、昨年度に特別措置として認めておりました WEB を利用した研修会が今年度より正式な研修形態となりました。既に栃木県病院薬剤師会では Zoom を利用した研修は取り組んでいて WEB ツールにも慣れてきたと思いますので、これまで以上に WEB 研修会が活用されると思います。e-ラーニングも多彩な研修領域をカバーしたコンテンツを取り揃えておりますので、是非ご活用しましょう。

 栃木県病院薬剤師会は法人化し 10 年が経過し節目を迎えました。コロナ禍の中でも栃木県病院薬剤会は諸先輩方の残してくれた組織、資産があり維持されております。あらためて御礼を申し上げます。今後の会の発展は会員の皆様、関連団体の支援があってできるものです。今後も御指導とご鞭撻を受けた賜りますようお願いを申し上げます。
また会員の皆さまのご健康を祈念します。


創立70周年記念誌 栃木県病院薬剤師会 令和3年10月より掲載